両親で…一刻も早く自閉症に関わっていくことの大切さ


 自閉症を理解するための第1歩

  
自閉症の人たちを…

    もう少し、正確に理解してあげて

      欲しいと…思うのです。

NPO法人神戸青少年支援協会HP TOPページ



 自閉症と言う障害は生まれながらにして起こります。これは脳の器質的な障害で起こるものであり、決して心理的要因や、親の愛情不足等の理由の、療育環境が原因しているわけではありません。

私たちは、このことをまず皆さんに知っていただきたいと思います。そして自閉症は、一生涯に渡って継続する障害なのです。


そこのところを理解しないで、自閉症の親に愛情を込めてアドバイスしたつもりなのに、逆に、とんでもないトラブルを引き起こしていたり、人間関係を傷つけていたりする例がたくさんあります。


例えば、「もっと愛情を持って接してあげれば、ちゃんと
普通?になるから

がんばってね。」 とか、「私の孫は、以前は自閉症だったけれど

私が根気よく話し掛けてあげたから今は普通に話が出来るようになったわよ。」

などと言われて傷ついている、自閉症児のお母さん達が

たくさんいらっしゃる事を知ってあげてください。

残念ながら、

現在までのところ、自閉症を根本から【治す(なおす)】…自閉症が治る…

ということはないのです。


自閉症という障害は、愛情不足や育児の方法が間違ったから起こる障害

ではないのです。 いつの世も、母親は、自分のお腹をいためて生んだ我が子に、

愛情を掛けないはずがありません。 

むしろ…健常の子供たち以上に愛情いっぱいに

育てられている方々ばかりです。

お母さま方は、皆…その障害を受け止めたその瞬間から…

否応なしに…

「普通の子以上に」愛情のふりそそいで、

自閉症児の療育に取り組まれているんですね。

それが、自閉症児者を育てる親たちの現状なのです。

ですから、私たちの子供や、みなさんの周りにいらっしゃる方の中に

自閉症の方がいらっしゃったとき…

自閉症だからと言って、それが親や周りの人たちの愛情不足が原因だ

という大きな誤解だけはどうぞ、なさらないようにしてあげてください。


お母さん達は本当に本当に大変なのです。

自閉症という障がいについての

予備知識のあるお母さんなど、実は、ほとんどいらっしゃいません。

言葉はあまり良くありませんが…

「普通の子が生まれてくるもの」として、ほとんどのご両親は、

子供を授かろうとするのであって、

あらかじめ、「自閉症児・障がいをもった子」が生まれてくることを

想定したうえで子供を授かろうと思う親など、いるはずはないんですね。

自閉症児が、

産声を上げて…生まれてきてくれた時の親は、

普通の親と全く同じような反応を見せていたはず…なんです。

1親も子も無事で…良かった〜!!!

2男の子で良かった〜!!! 女の子で良かった〜!!!

そして、

3五体満足に生まれてくれて…良かった〜!!!!!

親になった人に 誰もが必ず尋ねる、上記3点…つまり、

1 生命の安全の確認

2 男女の確認

3 五体満足で生まれて来てくれたか否か…

この3点を確認する時点では、

ほとんどの自閉症児の親は、

子供として生まれて来てくれたときの最も重要な3要素を

全て満たして生まれて来てくれたことに対する大きな満足感と感謝と

喜びに満ち満ちた日々を過ごしてきたはず…なのです。

でも、それがある日…

奈落の底に突き落とされたような気持ちにならなければならない日が

やって来るんです。

子供たちが成長するにしたがって

「この子…普通の子と比べて…何か違う〜!?」

「眩しそうにする目つきが…なにか…普通の子にはない表情?」

「急に耳をふさいだり… … する。」

「2歳の誕生日を過ぎても、ニコニコしてるのに ほとんど発語がない」

「あれっ??? なにかが違う???」

そんな不安を打ち消すために訪れた病院では、

いきなり脳波検査をしてみましょう」とお医者さんに言われ…

「えっ???」

「もう一度…来て下さい。」

そして、

「うちの子…何か…おかしいんでしょうか?」

「まだ、分かりません。とにかく…もう一度…来て下さい。」

「もう一度…って、いったい どういうことですか?」

「… … …」

「… … …」

というやり取りが何回か続けられた末に

「実は…あなたのお子さんは、自閉症です。」…との

宣告を受ける日がやって来るんです。

初めて自分の子が自閉症と知らされる親にとって、まさにこの日こそ、

「天国から地獄に突き落とされたような気持ちになる日」なのです。

 

そして、「我が子が自閉症」という事実を知らされた、

その日から、何の知識や情報も無いまま、その日から

自閉症児の母として、否応なしに

「障害に向かい合わねばならない」のです。

何の知識も…、支援も無いままに…です。


それからの苦しみ・苦労・ケアの大変さを、

周りの人たちが 少しでも理解してあげられたら…、

お母さん達は前向きに障がいに向かっていけると思います。

おなかを痛めて生んだ子供のことです。

愛情を注がない親なんて…どこにも いないのです。


地獄のような日々を…そうではなく、

(ちょっと宗教的になりますが…)

天から与えられた計画のもとに生かされている親として

自分たちの子供の障害を受け入れ、

【自閉症という障害も 一つの個性だととらえ直し…】

【笑顔で…】、【普通の子】と同じように

かわいい可愛い 自分たちの自閉症の子供たちを

死に物狂いで…懸命に育てているということを

どうか、知っておいてあげて欲しいと思うのです。

どうか大きな心で、自閉症児の親を見てあげてください。


 自閉症児の療育プログラム

欧米では、自閉症者への理解と対応が日本に比べて比べものにならないほど

進んでいます。 自閉症者には個別の療養プログラムが必要な事は

ほとんど誰でも知っていますし、そのための施設の整備や、先生や親への

自閉症者をケアするための教育も進んでいます。


また、親が一時の間、障害の子供たちの子育てから開放され、

精神をリフレッシュする事が出来るための、

レスパイトケアを行う施設もどんどん整備されています。

 
レスパイト・ケア(respite care)とは、

障害児・者のケアをする家族に対して、日頃の疲れやストレスに

疲弊してしまう前に、一時的にそのケアの負担から開放して、

息抜きをして心身を充電する機会を提供していこうとするものです。

(自閉症のトータルケア 佐々木正美著 P.27 ぶどう社発刊より抜粋)

私たちは、障害児・者へのケアは子供に対する親の心のあり方が一番大切

だと感じています。

重い障害だからと言ってくよくよしているだけでは、良い方向へは

進んでくれません。 親や、周りを取り巻く人々の考え方一つで、

親の心の在り様が変わってきます。


KYASでは、そこの所を親同士の情報
交換の場を作って

障がい児・者の周りの者たちのケアに取り組んでいます。


学生ボランティアによる障害児託児ケアを月に1回のペースで行っています。


月にたった一度ですが、

大学生ボランティアの学生さん達に子供たちのケアをしてもらい、

自分達だけの時間を作る事は、自閉症児をはじめとする知的障害児者を持つ

多くの親にとって、ほんのひと時ではありますが、

とても貴重な安らぎの時になっています。

知的障害児キャンプも続けています。


子供たちの嬉しそうな笑顔と共に、

親御さんから…

1泊・2泊ではあっても、

子供たちをお預かりして、

キャンプに行って来たことは、

子供たちだけでなく、

カウンセリングを担当をする

大学生ボランティアリーダーたちにとっても、

大きな自信につながっています。

ご両親の方々からも…

「この子が療育手帳をもらってから初めて

夫婦二人で映画を見に行ってきました〜!」という

とても嬉しい報告もいただくようになって来ています。
 


 
適切な療育プログラムを通して、

自閉症者の多くは社会的に自立する事が可能です。

欧米で今最も注目されている自閉症者への療養プログラムに

【TEACCHプログラム】というものがあります。

自閉症児が地域の中で自立できるようになるまでの

個別にプログラムされた、トータルケアシステムです。

日本でも勉強している研究者はいますが、

親のレベルにまでそのノウハウが知らされていないのが現状です。

我々KYASでは、何とかそのノウハウを

現実の療育現場のレベルにまで活かしていきたいと思っています。



 
多くのお父さん方のご参加も心よりお待ちいたしています。

 
多くの父親にとって、我が子が自閉症であると診断されても

すぐにはその障害についてほとんど認知できません。

さらに父親として どのように 母親と共に 我が子に対して

ケアを進めればよいか という事を 話し合う機会さえ

作り得ないお父さんがほとんどです。


父親の自閉症児の認知が遅れることによって、

一番大事な時期といわれる

幼少時の子どもたちの療育が遅れてしまうことが

一番懸念されているところです。

 
本当に大変な毎日を送る母親が、

精神的に煮詰まってしまいそうなときに、

心の支えになってあげなければならないのは、他でもない…

夫たる、父親の責任です。

母親と一緒になってパニックしている場合ではないのです。


父親の自閉症児の育児参加をいかに進めるかということは、

障がい児を持つ【両親にとって…本当に大切な事】だと考えています。

 どうかご両親が一緒になって、

自閉症児のお子さんのために共に勉強していきましょう。


 ★ 父親と母親、

 ★ 学校の先生(障がい者の福祉施設)、

 ★ 地域の人たち、  


この三者が、一体となって

一人ひとり…障害の種類や程度の異なる、それぞれの障害に

取り組む体制(一人ひとりの個別化された療育プログラム)を

作り上げてあげなければ、知的障がいを持つの子ども達は

安心して生活する事が不可能になってしまいます。

まず、

周りを取り巻く大人達が、

障害・自閉症児者に対する理解を進めて、

取り組むべき正しい療養プログラムを

一緒になって、みんなで考えていきましょう。

 ★ お互いが違っていて当たり前、  ということに気付けば、

 お互いを認め合いながら、

 共に同じ地域社会の中で、生活していけているのです。



…日本でも、

…皆が、差別されることなく、

明るく、 楽しく 暮らしていける地域社会の構築のために、

先生の力は言うまでもなく、 

お父さんをはじめとする、知的障がい者・自閉症児者の周りの者たち

(市民)の責任は重大です。

ぜひ、手と手を合わせて一緒に取り組んでいきましょう


自閉症とは…大ざっぱに言うとどんな障害なのでしょう

自閉症児・者のこだわり行動について

過敏なほどの感覚について

パニックとは






   


目次へ                        ホーム                    次のページへ