…自閉症を理解するための第1歩 その4 パニックとは


  パニックについて
  
    自閉症児者のパニックって、どんなことを言うのでしょうか!?
NPO法人神戸青少年支援協会 
 
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自閉症児はストレスの発散方法が分からず…心の内側にため込んでしまいがちです。

自分でもどうしていいのか…分からなくなってしまい、ついに…

自分の中にためこんだストレスがパニックとなって爆発してしまうことがあります。

自分の髪の毛を引っ張ったり、手の甲や膝を噛んだり、床や壁に自分から頭を打ちつけたりする

 【自傷(じしょう)行為】でパニックをあらわす方もいらっしゃれば…

周りのケアをする親や、指導員に留まらず…全くの他人に対しても…

いきなり噛みつきに行ったりする【他傷(たしょう)行為】でパニック状態をあらわにされる方もいらっしゃいます。


パニックを起こす原因として一番多いのは、

◇ 身体的に不快感が募った時…と思っています。

 「暑い〜!」「寒い〜」「大きな音が怖〜い!」等々です。

 

◇ また、

 いつもと同じスケジュールで同じ行動を行おうとすること【同一性保持】が崩される時…つまり、

 急にスケジュールが変更されたり、いつもと違うパターンで作業・仕事・家事などを行うことを要求

 されてしまったり、いつもと同じ場所に同じものが置いてなかったりすることが考えられます。

 ですから、わたしたちKYASでは、毎朝…みんなの前で、誰かにお願いをして、

 ホワイトボードに書かれた「今日一日の予定」を、声を出して読み上げてもらい、

 今日の予定を頭の中に入れてもらった上で、一日の作業に取り組んでもらうようにしています。


 そして、

 もし、万が一、今日の予定を大きく変更しなければならないことが起こり、

 急きょ、予定を変更するときには、

 前もって、「今日の予定」を「こういう形に変更したいのだけれど…大丈夫かなぁ〜?」と、

 パニックを起こす可能性のある方には、尋ねるようにしています。


 「予定を変更しても大丈夫?」と尋ねてみて…

 「大丈夫!」という返事があったり、「大丈夫!」という表情をしたことを確認したうえで、

 いつもと違う、「新しい今日の予定」を、頭に刷り込み直してもらうようにしています。

 このようにして、出来る限りパニックの原因になるようなことを、

 前もって排除するように環境を整えるようにします。

 そうすることで、たいがいのパニックを抑えていくことが出来ます。


 それでも…、

 残念ながら…

 そうしていても

 パニックが起こってしまう時があります。


 そんなパニックが起こってしまった時のときの対応法として一番活用していることは、

 @ 「一人になれる環境を用意する」ということです。

 ケア担当の人も一緒になってパニックにお付き合いするのではなく、

 出来るだけ、気持ちを和らげるように、危険のない場所を見つけ、

 自分で気持ちがおさまって来るまで、少し距離をおいてから、

 A 「大丈夫だよ〜」と静かに声を掛けるようにしています。

 B そして、これから起こること…つまり、今日の予定のうちの、

   例えば、「掃除をしましょう」という予定を伝えるときにも、

  「○○の掃除が終わったら、掃除の時間が終わりますよ。」というように、

  その作業・行動・仕事が、【どうなったら終わりになります。】という

  ≪後の見通し≫がつくように話をすることで、

  パニックがおさまるように思っています。


  パニックを示してくれることによって、

  どんな時に…どんな条件が重なると辛抱できなくなるのか…という

  ことが理解できるようになるという意味では、

  パニックを起こすことは、自閉症児者本人にとっては、

  自分のことを、他の人に理解してもらえるようになるために

  とても必要な行動の一つではあると思うのですが、


  それでも…パニックを起こす本人にとっては

  とても、苦しいこと・辛いことには違いないので…

  出来るだけ…

  パニックを起こさないで済む配慮・環境作りが必要なのではないのかなぁ〜と

  思っています。


 

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