(1) 障害者理解のための啓発事業 支出額= 669,797 円 中島主任
知的障害児者及び身体障害児者理解のための啓発活動として、大学生ボランティア活動の支援・育成を行いました。リーダーズトレーニングを受けたボランティアリーダー達と会員・利用者の方々との同世代、年齢の近い人達同士の触れ合いを通じて、利用者の方々の療育が、大きく進んでいることを、参加メンバー、並びに参加職員・リーダーの多くが感じています。会員様・関係者様の、さらなるご協力・ご参加をいただけるよう事業を続けていきたいと考えています。どうぞ、よろしくお願いします。今年度はリーダーの皆さんの活発な広報・勧誘活動によりリーダー数の充実が図れた年でした。また期待されていた男性ボランティアリーダーも、現在は4名増えたことにより、活動自体が一層広がりを見せており、外での活動やイベントの内容もメンバーの皆様にとっても有意義なものになりました。年間テーマにおいては「五感」ということから、普段から感じている感覚をより具体的にしていき、そこから遊ぶことに重きを置きました。リーダーたちの中でもその「五感」というものが一体、何なのかをじっくり論議することで、改めて普段感じていることや、新しい体験として感じることなど多くのことを学ぶ機会になりました。そしてメンバーが主体的に五感を通して様々なことを感じられることができるようイベントを企画しました。
今年度もOG/OBのリーダーに多く参加していただき、イベント参加だけでなく、社会人として忙しい中でも、ゲーム指導やメンバーとの関わりにおいてリーダーとして大切にしていくことなどをミーティングにまで参加し、現役リーダーを見守り支えてくれる姿に感謝の詰まった一年でした。
(ボランティアリーダーイベント開催)
11月ほくほく秋見つけちゃいました
明石公園からのウォーキングも織り交ぜ、季節の移り変わりを全身で感じながら、秋しかできない遊びとして落ち葉を拾い、いろいろな色や形のものに自分のお気に入りを見つけたり、それを服の飾りにしてみたり、仲間とともに見せ合いっこをして楽しいイベントになりました。
12月ワクワク街歩き サンタと一緒に一年を振り返ろう
今年は2年前に実施した神戸の街歩きクリスマスを、第二弾として実施しました。前回の課題点も昇華していけるよう寒い屋外で楽しむためには何に気を付けていかないといけないのかという視点も考え行いました。メンバーにとってKYASで楽しかった昨年度のイベントを楽しみながら回想していけるゲーム形式を神戸のハーバー周辺を利用して行いました。恒例のサンタ出現にも、まさかこんな所で!というサプライズを用意したり、グループでの回想ゲームを攻略しながら交流を深めたり、昼食以降はウミエなどの施設で街歩きそのものを楽しみました。
2月雪と遊ぼうデイキャンプ
今年度も兎和野高原に行きました。時期、気候ともにまさに雪遊びにふさわしい環境が今年度も充実して、メンバーの皆様も全身を使ってたっぷりと雪の中で遊ぶことのできたイベントでした。ただ雪の中で遊ぶだけでなく、チーム対抗のゲームや、大きなお手製のソリを使ってたくさんの仲間と一緒に滑る未知の楽しい体験なども織り込まれ、心から思う存分喜んでいるメンバーの姿が印象的で、寒さ吹き飛ばす雪遊びプログラムになりました。
3月KYAS 追いコン リーダー送別会
テーマはやさしさをくれた4回生へと称して、その人のために何かお返しができないかなというねらいのもと、メンバーからのメッセージや歌を事前に練習して贈るというイベントでした。また卒業されるリーダーが看護師・保健師と医療現場での職場に就くということで戴帽式を行い、メンバーにとっても普段なかなか見られない場面を体験できたプログラムになりました。
4月・5月 新入リーダー勧誘
現在ボランティアリーダー登録数25名です。今年度は各大学に在学するボランティアリーダーが個別に勧誘活動を活発に行えたことでKYASに関心を持つリーダーが多く集いました。昨年を大きく上回り、充実したマンツーマン体制を整える形ができました。また先述した男性ボランティアリーダーの充実も今年度の目標達成ができ、さらなる期待の持てる一年であったことを実感できる年になりました。
4月春がやってきた!春を感じる旅に出よう!
神戸の春を感じるということで、街を歩いて春の生き物や草花を探しに出かけようとプログラムを組みましたが、あいにくの天候不順により太陽の家内でのイベントに変更しました。春を知るためには四季を巡ることがいいのではと、過去の写真やムービーを制作し観賞会を行いました。また季節カルタを自作し春当て感覚で遊び、他の季節はどういったものがあるのかを楽しみながら過ごすことができ、雨の日でも充実したプログラムでした。新人リーダーとの交流もメンバーにとって一つの春が来たという基準や理解にも繋がりました。
5月ペタペタぬりぬりわくわく動物園☆
いろんな色を楽しみ、絵具の感触を楽しみ、そしてみんなで何か一つ大きなものを創作しようということでイベントを実施しました。自分の手や足を使って絵具を好きなところに装飾を行う楽しみ、また素手・素足で絵具を触るという感覚はいったいどんなものなのかを楽しく体験できるイベントになりました。最後はそれが大きな動物の完成に至ることで、みんなで協力し合ってできたという達成感も得られることができたイベントでした。
6月じゃかじゃかどんどん音楽隊♪
5月の触覚の次は音・聴覚から何か楽しいイベントはできないかということで、楽器を作って自分だけの音を楽しもうというイベントを実施しました。3種類の「手軽に作れる楽器」の材料を用意して、メンバーそれぞれが、どれを作ってみたいか・鳴らしてみたいかというところから入り、制作に興じ、完成した自分の楽器で音楽やリズムを全員で奏でることで楽しい時間を過ごすイベントになりました。
7月海っていいなー、夏っていいなー、みんな楽しめ江井島!
プレキャンプとして、江井ヵ島で海水浴のイベントを行いました。KYASではもう見慣れたエリアですが、それでも海という環境はそれだけで新鮮で楽しく有意義な活動になりました。今年も酷暑と呼ばれるほどの日和が多く、この日もそれが見込まれ、安全対策熱中症対策としてリーダーとスタッフによって危機意識向上や経口補水による熱中症予防にも力を入れました。ただ海で楽しく泳ぐだけでなく、大きな自作浮き板を用いた遊びで思いっきり海に飛び込んで爽快感を味わったりとKYASならではの海遊びも充実したイベントになりました。
8月KYAS サマーキャンプ2018 飛び込め大山!大自然!
今年度は鳥取県・大山エリアでのサマーキャンプを実施しました。リーダー数も昨年とは違い充実した人数で集まることができ、初めてのキャンプ地でしたが、たくさんの経験が得られたキャンプでした。大山の自然を感じるというテーマに、大山登山プログラムや例年の海プロから川遊びでのプログラムなど、リーダー・メンバー共にチャレンジすることが際立ったキャンプでした。登山においては3合目までと悔しい思いの残る登山でしたが、それ以上にほとんどの参加者が初めての体験の中で全員が怪我無く無事に3合目までしっかり登れた経験というのは、大きな財産になるプログラムでした。ただしキャンプにおける下準備で、メンバーとのキャンプに向けての意識共有や事前の登山練習など反省点も多くあり、次に活かすことを考えさせられる団体としても学ぶ機会が多いキャンプでした。
(3)障害者ふれあい農業事業 支出額= 122,600 円 赤松支援員
共同ふれあい農園での農作業実習を行いました。(週2回)農作物の品質の向上、並び
に収穫量、売り上げの増加を図るため、天池返し、牛フン堆肥のすき込みをし、土地改善を図ることによって収穫量を高めることにも努めました。今年も炎天下・長雨などの悪天候が続く中で、利用者のみなさんも頑張られました。
新たに入られた利用者の方のモチベーションも高めていけるよう、経験によって培われた力を分担作業として大切にしながらも、できるだけ全体で行える作業を中心に行い、全員で頑張られています。出来高としては、キヌサヤ(秀)・スナップエンドウ(不良)・シシトウ(秀)・ナス(秀)・ピーマン(秀)・ミニトマト(秀)・人参(良)・イチゴ(不良)・白菜(良)・大根(可)・キャベツ(秀)・ブロッコリー(秀)・サニーレタス(秀)・サツマイモ(良)・枝豆(良)・イチジク(秀)・かぼちゃ(良)・玉ネギ(秀)・里芋(可)はすくすく育っています。
今年もエンドウのグリーンカーテンを事業所入り口にし、店舗の入り口にかぼちゃをチャレンジしたのですが、思ったより成長が見られず、来年の課題となりました。
(5)障害者の健康増進事業 支出額 163,000 円 西田看護師・加藤支援員
保健部門
朝のバイタルチェック(体温・脈拍・血圧測定)、身体測定(年に2回、身長・体重・胸囲・握力・血中酸素濃度)、隔月に体重・胸囲測定に加え、今年度から集団で職員を含む健康診断を実施しました。健康診断は、今年度より太陽の家担当医の前田医院にて、大半の利用者様が受診されました。以下健康診断結果をご報告させていただきます。
異常が見られた項目は、血液一般4名(昨年3名)、脂質6名(昨年6名)、肝機能4名(昨年6名)、筋肉関連酵素1名(昨年2名)、血糖1名(昨年1名)、尿酸4名(昨年4名)でした。BMI25以上は6名(昨年4名)、予備軍1名、BMI18.5以下のやせ型3名(昨年2名)でした。バイタル平均は低体温(36℃以下)1名、高血圧1名でした。
今年の特徴は例年になく猛暑の夏を迎え、体調不良で嘔吐・下痢・発熱で欠席された利用者様が若干見受けられました。日常的に一般風邪やインフルエンザ等の感染症予防・食中毒予防として、手洗い、イソジンガーグルうがい、爪のチェック等衛生面に関する支援を行いました。また熱中症対策として、夏場は毎朝経口補水液の飲用、サマーキャンプをはじめイベント内での経口補水液の飲用により熱中症予防の効果が上がりました。利用者様の健康チェック、異常の早期発見等をスタッフ全員で共有し、また親御様との連絡を密にして利用者様ひとりひとりが笑顔で元気に通所いただけることを主に取り組みました。
健康維持増進部門
健康の維持増進では、朝のバイタルチェックを終えると、ストレッチ運動・タオル体操・踏み台昇降運動を毎日継続して行いました。新たに、リズムに合わせたダンス(有酸素運動)にも取り組み始めました。また、帰りの会の前のストレッチも継続しています。
木曜日のバスケットボール・北須磨文化センターでのプールも継続して行いました。バスケットボール前のウォーミングアップでは、サーキットトーニング(マット・鉄棒・三角コーンを活用)による体力向上を図りました。ウォーキングでは、近郊の野々池周辺、松江海岸、沢野コースや、三木山森林公園など自然を感じながら体を動かすことが出来ました。
利用者の健康の維持増進とともに、体調管理にも留意して取り組んでいます。今年は記録的な猛暑でもあり、活動の前後の経口補水液の飲用、細目に水分補給をするよう徹底することで熱中症対策に効果があったと思います。
調理実習においては、太陽の家共同ふれあい農場で収穫した季節野菜を多く取り入れ、栄養のバランスを考えたメニューで美味しく楽しい実習を行いました。
(6) 障害者の社会参加を促進する交流事業 支出額 133,925 円 松林施設長
3月1・2・3日に静岡県国立中央青少年交流の家に行って2泊3日の宿泊訓練キャンプを実施しました。好天に恵まれ、柿田川公園では一足早い桜の開花⇔満開に出会えただけでなく、日本一の富士山の絶景をいろいろな角度からみることができました。参加された利用者の方々も皆、とてもリラックスできていらっしゃいました。宿泊を伴うが故の、日常では見られない利用者様のさまざまな表情を見せていただくことができ、とても有意義な宿泊キャンプとなりました。
ハートでアート神戸展が中止となり、代わりに誕生した「神戸Hug展」が、開催月の関係で本年度中に第1回・第2回と二度の開催となりました。太陽の家からは、絵画作品3点、書道作品3点×2回を出品し、高い評価を受けることができました。他の施設の利用者の方々もたくさん自分たちの作品を出品されていて、日常行われている創作の作品を出品していくことで、利用者の方々のいわゆる「エイブルアート」のすばらしさを広く市民の皆さんに知って頂ける機会となっています。そこで、私たち太陽の家でも、絵画・書道の作品展に出品し戻ってきたらすぐにしまってしまうのではなく、日常的に利用者の方々がそれぞれに創作される、個性あふれる作品にふれ、親しんでいただく機会を増やす目的で、利用者皆さんの作品を掲示できる高さ3mの掲示ボードをショップ売場内に長さ10mにわたって設置しました。
利用者の方々がこれから少しずつ年を重ねられ、文化的な活動の一つとして、体力的に少々しんどくなっても比較的取り組みが容易な絵画・書道等の文化活動にも、これからも力を入れていきたいと考えています。
(10) 障害者総合支援法に基づく障害福祉サービス事業
支出額 1,343,326 円 松林施設長
昨年度(2017年春)から太陽の家福祉サービスを、それまでの多機能型から生活介護型の障害福祉サービス事業所として運営を続けています。将来、親御様と離れて社会生活を送る年齢になられたときに必要と考えられる様々な能力(身辺自立…つまり日常生活動作 (Activity
of Daily Living ; A.D.L.=着替え、トイレ、食事、お風呂など基本的な動作)の獲得、及び 健康の維持増進を図る能力、高齢となった家族との生活上必要となる料理、洗濯、買い物、外出時のマナー等のうち本人が担える社会生活能力)の獲得に向けて、現在の利用者ご本人のスキルレベルに照らし合わせ、個々の懇談会で各期の目標を定め日々支援に取り組んでいます。現在のわが国の福祉行政は、個人が慣れ親しんだ環境下で一生を全うできるよう、より細かい日常生活に対する支援の充実が図られる方向性にあるため、太陽の家での生活介護サービス事業も、この流れに沿う形で利用者各人の生活上のスキルアップを支援の中心に考えています。
一週間の支援も例年同様、曜日ごとに様々な生活上のスキルアップにつなげていけるようメニューを考えながら行っています。月・水曜日の農作業で使用しているトラクターの刃を12月の歳末助け合い募金の配分金としていただき、高い畝が立てられるようになりました。また、2018年度NHK歳末助け合い受配として農作物運搬用の軽トラックの購入費80万円を頂戴しました。これに加え太陽の家の事業運営費から30万円を拠出し、農作業用に軽トラックを1台購入することができました。老朽化が進むタウンエーストラックがいつなん時使用不可になるかも知れないことを考えると大変タイムリーな受配を受けられたと思います。農作業では初めは不得手だった利用者の方も、年を重ねるごとに個々の楽しみを見つけられ、意欲的に取り組まれる姿が非常に多く見られるようになってきていると思います。火曜日には調理実習を行いました。夏場は神戸市から食中毒予防の徹底を促す通知が寄せられるため行えませんが、農作業で得られた農作物を使って調理することで、それまで食べられなかった野菜が食べられるようになったり、調理そのものを楽しめるようになって来たりしていらっしゃる様子がみて取れるようになってきています。木曜日は基本的には兵庫県立リハビリテーションセンター内にあるスポーツ交流館でバスケット➡シャワートレーニングとなっていますが、今年度後半はスポーツ交流館側の都合で体育館が使用できないことも多かったため、プール、ウォーキングの他、遠足等にも出かけながら、心身のリフレッシュを図ってもらう曜日となりました。金曜日はチャリテイーショップの灘方面への遠方回収と館内清掃を行う曜日としました。いただいた提供品を丁寧に扱うことを学んでいます。また昨年近くの水溝から採集してきたメダカが今年は初めて産卵。稚魚がたくさん生まれてくれましたので、利用者の人たちが日直当番の仕事の一つとしてエサやりをしてくれています。小さな命(自分より弱い立場のもの)を守りいたわることに、いつか気づいていただけるよう取り組み始めています。
また今年は3回も連続で台風が神戸を通過するという異常気象となったため、1週間ごとに店舗前後の植木の移動作業、大看板の設置⇔引き降ろし作業、大シャッターの隙間からの雨水浸入防止のための毛布敷き作業等いつもの年なら滅多に行わない作業をたくさん行う年となりました。これまでに体験したことのない目を疑うほどの『激甚(げきじん)災害』の報が日本各地で報じられる中、施設と利用者の方々の安全確保について、これほど考えた年もないくらい安全対策に追われた夏となりました。御承知のように立山アルペン秋の紅葉キャンプも残念ながら中止いたしました。
現在の王塚台に移り早9年目となりましたが、使いづらい箇所、改修が必要と考えられる箇所が何か所か見つかってきています。加えて施設の老朽化に伴い、今般の台風等の自然災害の激甚化にも耐えうる安全な施設としての太陽の家も、当然求められていると考えます。また全世界的規模の地球温暖化に伴い、これまで辛抱してきた太陽の家の2階と1階ショップ部分の空調能力ではグリーンカーテンや葦簀(よしず)等の日よけ対策では到底対応していけない猛暑・酷暑が太陽の家にも押し寄せてきていると感じています。利用者の方々の1階と2階の移動時や、作業室とショップスペースの出入り時の温度差を考えると利用者の方々の健康上の安全のためにも、早急な施設改修の必要性が高まってきていると感じています。こういった観点から今年は一昨年に続き、さる10月末までに国庫補助による障害福祉施設大規模改修工事2019年度分への助成申請を済ませたところです。
また新たな年度がスタートいたしますが、職員一同これまで以上に気を引き締めつつ利用者の皆さんの支援に取り組んでいこうと考えています。引き続き当事業への深いご理解、ご協力をよろしくお願いいたします。
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